かゆいところまで手の届く、優秀な介護スタッフに囲まれ、ニッコリ笑顔の老夫婦――。
まるで「極楽浄土」を絵に描いたような介護風景で、多くの利用者を獲得し、短期間のうちに最大手にまで急成長を遂げたコムスン。ここにきて、虚偽申請や不正請求利得とで介護事業所指定を停止され、介護事業の譲渡に、同業他社が名乗りを上げている。
介護保険の制度も年金制度同様のカラクリで、早晩破たんするのは目に見えている。そこで、あえてここでは日常的に目の触れるCMの虚像に言及したい。
代表的なのは、さも「安心と安全」や「安さと保障」をうたったキャッチコピーが節操なく流れていることであろう。どう見ても実現不能な誇大広告が野放しになっている。にもかかわらず、ご丁寧にも問題広告に対する啓発を促すべき広告審査機関、たとえば日本広告審査機構(JARO)までもが、「広告」しているこっけいぶりである。
ちなみにこの種の団体に意見を伝えたところ、何と「広告主」をかばう言い訳に終始していた。
不適切なコピーをいくつか紹介しよう。
自動車保険の「対人対物を『無制限』に補償する」との文言は、一見すると「賠償責任の数量や金額に制限がない」と聞こえるが、実際は保険会社の「法的な査定基準」が設けられており、各項における各種の制限が決められている。ユーザーの錯誤を狙っているのだ。
だから交通事故の賠償問題では、裁判に持ち込まれてもかえって弁護士費用がかさんで、被害者の泣き寝入りが数多く見受けられるのが実情である。
外資の参入で契約獲得に狂奔してる日本の生保会社の医療保険も、新商品の開発と言いながら「生涯保障」をうたったものは怪しい。なぜなら、実質「生涯」を経過した実績がないので、将来性は不透明なのだ。
最近明るみになる保険各社による「保険金不払い」の実態も、付加した特約の申告主義がもたらす弊害である。「日帰り入院1万円」のコピーも、一般的には救急搬送されて治療の上、一時的にベッドを利用して帰宅したら、「入院」と言わずに「通院」したことになる、とのことだ。
家電製品の宣伝では、液晶TVの寿命が「60万時間」とか、エアコンの自動清掃「5年保証」だの、まだ経験と実績のない新製品なのによく言えたものだと思わずにはいられない。
「ご利用は計画的に」という消費者金融の“迷文句”(撮影:OhmyNews編集部) 笑ってしまうのが「ご利用は計画的に」という消費者金融の“迷文句”。もともと計画性があれば、金利の高い消費者金融に借り入れなどしないはずなのに……。
これらは、ほんの一例に過ぎないが、国の年金制度の破たんや介護制度の脆弱(ぜいじゃく)さ、さらには身の丈知らずの国際化・グローバル化と市場経済の横圧さに共通しているのは、「官民」こぞって「カネ集めの手段」の1つとして、CMを介したイメージ戦略を展開していることであろう。
メディアもこうしたスポンサーで成り立つ以上、不条理なCMをも漫然と受け入れざるを得ないだろうし、そうした虚像の実態を暴く術とてあるまい。
すなわち「公正取引委員会(公取委)」による「不正取引」の規制に期待するも、国の方向が野放図な「規制緩和」となれば、基本的なルールと秩序の回復は望み薄なのかも知れない。
オーマイニュースインターナショナル